
こんにちは!
さぬかしです|ω・`)ノ ヤァ
みなさん臨床検査技師、というお仕事をご存知でしょうか?
臨床検査技師は主に病院で働いていますが患者さんと直接関わることが少ないので知らない!という方も多いと思います。
この記事では臨床検査技師である私が臨床検査技師が普段どのようなことをしているのかを解説していこうと思います。

臨床検査技師とは
臨床検査技師には臨床検査技師等に関する法律、というものがあり法律により業務内容が定められています。
第二条 この法律で「臨床検査技師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、臨床検査技師の名称を用いて、医師又は歯科医師の指示の下に、人体から排出され、又は採取された検体の検査として厚生労働省令で定めるもの(以下「検体検査」という。)及び厚生労働省令で定める生理学的検査を行うことを業とする者をいう。
昭和三十三年法律第七十六号 臨床検査技師等に関する法律より
つまり臨床検査技師という職業は厚生労働大臣から許可をもらい、医師、歯科医師の指示により決められた検査を行う仕事です。
業務するにあたっては医師、歯科医師の指示が必要ということで臨床検査技師のみ、という組織は存在せず、必ず組織に医師が必要ということです。
臨床検査技師になるためには
臨床検査技師として働くには臨床検査技師の免許が必要となります。
第三条 臨床検査技師の免許(以下「免許」という。)は、臨床検査技師国家試験(以下「試験」という。)に合格した者に対して与える。
昭和三十三年法律第七十六号 臨床検査技師等に関する法律より
臨床検査技師の免許を取得するには厚生労働省が指定する教育機関の卒業、国家試験の合格が必要となってきます。
教育機関は文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した臨床検査技師養成所などのことであり、大学の検査技術科学専攻や専門学校の検査学科のことをさします。
そして毎年2月半ば〜後半に行われる国家試験に合格して、臨床検査技師の資格を取得することができます。
どんなことをしているの?
臨床検査技師が検査する内容は大きく分けると二種類あります。
それは患者さんから採取した検体を検査する検体検査と患者さんを直接検査する生理検査です。
ではそれぞれ何をしているのか見ていきましょう。
検体検査
検体検査は患者さんから採取した検体を検査する仕事です。
検体としては血液、尿、便、痰、手術で採取した組織などがあります。
これらの検体を材料に、生化学検査、血液検査、輸血検査、細菌検査、一般検査、病理検査、遺伝子検査などを行います。
今、検体検査のほとんどが自動化されており、機械が測定しています。
検体検査の担当の検査技師には患者さんのデータが正しく測定できているか、データが異常なときは毛検体に問題はないか、機械は?測定試薬は?といったように不良を素早く見つけるスキルが求められています。
また、検査結果をいち早く見るため、緊急性が高い異常値が出た場合は医師にすぐ連絡することもあります。
では具体的にどのようなことをしているのでしょうか。
細かく検査について見ていきましょう。
生化学、免疫検査
生化学、免疫検査では主に血液を材料として検査を行います。
検診や献血に行ったときにTP7.3、Alb 4.2、、、といったデータを渡されたことのある人もおられるのではないでしょうか。
このデータの半分以上はこの生化学、免疫検査によって出している値です。
生化学検査は主に全身状態のスクリーニングを行うことができます。
この結果から肝臓や腎臓などに障害がないか、体内はどういう状態なのかを見ています。
また、治療中の患者さんは治療の効果や治療による臓器の障害の程度を把握するために定期的に検査を行っています。
免疫検査ではウイルスなどの抗体があるかを調べています。
抗体の種類によってはウイルス感染を発見すること可能になってきます。
生化学検査は検体検査の中で測定する項目が一番多いため幅広い知識が求められます。
血液、凝固検査
血液、凝固検査も血液を材料とします。
血液検査では主に赤血球、血小板、白血球の値を測定します。
この検査によって血中の細胞がどれだけあるかということがわかります。
貧血はないか、血を止める細胞はあるか、異物をやっつける力はあるかといったことを調べます。
血液検査には形態を見る仕事もあります。血液を薄く伸ばし細胞を染色した後に顕微鏡で異常な細胞の有無を調べます。
この検査は主に血液疾患の患者さんで行われます。
白血病やリンパ腫などの血液疾患の患者さんには血液中に異常細胞が見られることがあります。
異常細胞がどれだけ見られるかにより治療方針を決定することもあるため、異常細胞と正常細胞を正しく分析する力が必要になります。
この形態学は見れるようになるまでに長い時間を必要とするため、このスキルを身につけていると転職の際にも有利になります。
凝固検査では出血した際に血を止める能力があるか、出血はしてないか、抗凝固剤は適切な量でコントロールできているかなどを調べています。
一般的に血を止める、といえば血小板を思い受かべる人も多いでしょう。
しかし、血小板以外にも凝固因子と呼ばれる数多くのタンパク質などが血を止める際に必要となります。
そのタンパク質がないと血小板があっても血が止まらない、ということもあります。
そのため凝固検査を通じて血を止める凝固因子などのタンパク質が十分あるかを調べます。
また、血が固まりやすい状態の人には血液をサラサラにするために抗凝固剤という薬を投与します。
しかし、この薬を大量に使用してしまうと逆に出血したときに止まらなくなってしまいます。
抗凝固剤がどれほど効いているのかをこの検査で調べます。
輸血検査
輸血検査も血液を材料とした検査です。
輸血検査は主に血液型検査、交差適合試験というものを行っています。
血液型検査ではABO血液型がメインになります。
輸血する際には基本的に血液型が同じ血液製剤を使用します。
そのため、輸血する前には血液型の検査が必須となってきます。
交差適合試験は名前が少し難しそうに聞こえるかもしれませんが、中身はそこまで難しくありません。
患者さんの血液と輸血で使用したい血液製剤をまぜまぜして免疫反応が起きないかな、というのを調べる検査です。
輸血検査は患者さんにあった血液製剤の選択をするため、異常反応が起きたときにどう対処するかという柔軟性や、緊急輸血の際にどの製剤をどれだけ早く出すかという迅速性が求められます。
また、検査のミスはどの部署でもあってはなりませんが検査技師の仕事の中で最もミスが人命に関わる仕事です。
特にミスにより患者さんにABOの血液型が異なる血液製剤を投与してしまうと全国ニュースに載ってしまい、病院の信用を大きく損なう事態にまでなってしまう可能性があります。
そのため、柔軟性や迅速性の他に正確性というのも強く求められます。
細菌検査
細菌検査では尿、便、痰などの多くの検体を材料とします。
細菌検査では体内でいてはいけないところに細菌はいないか、いるならその種類は?どのような薬が使用できる?ということを検査しています。
仕事としては調べたい材料を培地に塗り、培養を行います。
そして培養で生えた菌がなんの菌なのかということを染色や測定機器で調べます。
同じ種類の菌でもある薬剤が使用できる、できないはその菌によって変わってくるため薬剤感受性試験ということも行っています。
細菌検査では細菌を扱うため、自身の感染制御をしっかりおこなう必要があります。
菌によって見た目や匂いが異なるため、熟練の人では培地を見たり、匂うだけでなんの菌かわかる人もいます。
一般検査
一般検査では尿や便などを材料とした検査です。
尿検査は痛みを伴わずに腎臓や尿管の状態を調べる事ができます。
尿中に健常人ではみられないタンパク質や血液がないか、また顕微鏡で異常細胞がないかというのも検査しています。
顕微鏡で異常細胞を調べる検査は参考書が少なく、また標本を保存できないため取得するのは大変ですが取得すれば病院内でも重宝される存在になれます。
また、便に血液が混じっていないか、精液の異常はないかなど、血液以外の検体を検査しています。
病理検査
病理検査では主に手術や処置で採取した臓器、組織を材料とします。
病理では提出された検体から標本を作成し、患者さんの疾患に適した染色を行います。
また、細胞検査士という資格を取得すれば自身でも細胞を顕微鏡で観察し診断の手助けを行うことができます。
そのため、病理検査を行う人の多くがこの細胞検査士を取得しています。
細胞検査士を持っていると転職した際に病理に配属される可能性がかなり高くなるので病理検査を行いたい人はぜひとも取得しておいたほうがいい資格です。
余談ですが医療ドラマに臨床検査技師が出演する、となったときはほとんどが病理検査です。
遺伝子、染色体検査
遺伝子、染色体検査は血液や組織、痰など多岐の材料を検査します。
遺伝子検査では遺伝子を増幅するPCR検査や遺伝子の転座を見るFISH検査などがあります。
遺伝子検査は疾患の確定診断にも用いられる検査です。また、ごく僅かなものを増やして測定しているため、検体の僅かな汚染が誤った診断につながってしまうため、正確な手技が必要になります。
遺伝子検査は検査内容が細かく、また採算も取りにくいため大学病院レベルの大規模な病院や研究機関でしか行っていません。
しかし、遺伝子、染色体検査は今後も拡大していく検査であり、技術の進歩とともに需要は増していく可能性を秘めています。
生理検査
生理検査では患者さんに触れて直接検査をします。
心電図や超音波検査が馴染みがあるのではないかと思います。
生理検査は心電図検査、超音波検査、呼吸機能検査、神経伝導検査、睡眠検査、聴力検査、MRI検査などがあります。
この検査も同様に検査結果をいち早く見るのは検査技師であり、緊急性が高い場合は医師にすぐ連絡をおこなうことがあります。
また、負荷をかけて行う検査もあり、患者さんの状態を見ながら検査を行う必要があります。
臨床検査技師が行える検査はすべて体表からの検査になります。したがって筋電図検査などの針を刺して刺激を与える検査などは行うことができません。また、放射線を扱う検査も認められていません。
心電図検査
心電図検査は体に電極を貼り、心臓の動きを波で表す検査です。
心臓を動かすシグナルがきちんと出ているか、適切なリズムで出ているかなどを調べます。
心電図は生理検査の基本であり、心電図はできて当たり前と考えている臨床検査技師も少なくはありません。
また、24時間心電図を記録して解析したり、心臓に負荷を書けて心電図を記録するといった検査もあります。
超音波検査
超音波検査はエコー検査と呼ばれることが多いです。
体表から超音波を当て、心臓や肝臓、血管などをみて大きさや動き、異物はないかなどを画像を映し出して検査します。
この超音波検査は上手に調べたい箇所を画像に出せるかという検査技師の腕が問われる検査です。
患者さんに合わせて画像の出し方を変えたりと上手に画像を出すためには技術と経験が必要です。
検査技師の求人を見てみると超音波検査の経験有り、というのが条件の病院や、クリニックが多くあるため、超音波検査は経験しておくと将来の幅が広がります。
呼吸機能検査
呼吸機能検査では肺活量や肺での換気能力を調べる検査です。
呼吸器のどこが異常なのかということをこの検査で調べます。
この検査は万能ではありませんが、痛みを伴わずに疾患を早期発見できる可能性があるという長所があります。
検査によっては患者さんに努力してもらう必要があるため上手に声掛けできる、というのも大事なスキルになってきます。
神経伝導速度検査
神経検査には神経伝導速度検査、脳波検査があります。
神経伝導速度検査は体表から電気刺激をあたえ、その刺激がどれくらいの速度で伝わっているかというのを調べる検査です。
神経に異常がある患者さんでは刺激を強くしないといけなく、痛みを伴う検査です。
そのため、素早く検査し、痛みをできるだけ和らげる必要があります。
脳波検査
脳波検査では頭に多くの電極をつけ、脳のシグナルを見る検査です。
この検査は年齢により波長が変わるため年齢に考慮して検査をする必要があります。
脳波検査ではいろいろな刺激を加え、波長がどう変わるかや病院によっては睡眠時の脳波を調べる検査も行っています。
MRI検査
MRI検査では磁力をつかって全身の状態を画像に映す検査です。
しかし、この検査は診療放射線技師が行うことが多く、臨床検査技師が行っている施設は多くありません。
そのため臨床検査技師を養成する教育機関でもほぼ教えず、国家試験でも問題はまず出ないというのが現実です。
その他の検査
これまで挙げた検体検査、生理検査の他に臨床検査技師が行っている業務としては採血、検体採取、聴覚検査などがあります。
検体検査というのは検体を採取するところから始まっています。
誤った検体の採取方法ではどれだけ機械が正確であろうと正しいデータは出ません。
そのため検体採取から検査技師が関わることができるように法律が整備されています。
法的には鼻腔や咽頭からの検体採取はできますがまだまだ現実としては検査技師が採取している施設は多くありません。
いかがでしたか?
この記事で少しでも臨床検査技師の仕事内容がわかった!となってくれれば幸いです。
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